魚板

何か大事なことを聞きそびれたような気になりながら、次から次へと検査に回される。中央のフロアの吹き抜けには採光があふれ、そこを右に左にとスタッフが動き回る。明るく光るその後ろ姿を見ているうちに、もうどうでもいい気になってきた。

自分は鯉になったのだ、任せるしかない。心残りがあるとすれば・・・・・・あの夏の日からたくわえてきた髭を、さっぱり落とさなくてはいけないこと。それくらいだ。後は銭金の心配でもしていればいい。さて、次は、ERの受付に回るらしい。