大味

朝からの洗濯物はかさかさになるほどに乾ききって、午後になってもギラついた太陽からは、じりっとした陽射しがまっすぐに落ちてくる。まったく梅雨入りしたはずなのにと、まだ西に陽が浮かんでいるうちからネロを連れて、いつもの畦を進んでいく。ふと見上げると、空の西の端が地平に向かってすっかり黒ずんで、いつの間にかネロの歩みが速くなった。延びきったリードに引かれながら折り返していく耳に、かすかに雷鳴が届く。家に戻ってほどなく、空はさらに暗くなり、強い風にあおられた雨粒が、窓ガラスにはじけて大きな音を立てる。すぐにアスファルトが濡れそぼち、遠くから雷鳴が近づいてきた。大味な梅雨に向かい、受難続きのネロを抱きすくめてやる。