散歩

午後三時。仕事にけりをつけて、外に出た。

西から伸びた灰色に太陽が隠れ、木々の枝は大きく揺れ動き、葉が擦れあって風が音を立てる。ほんのり湿り気の乗った海風は、北の方から流れてきているようで、半袖の腕に小さな鳥肌が浮かぶ。いつもより二時間も早く連れ出されたネロが、遠くに彼女にだけ聞こえるのだろう雷鳴に、尻尾を丸めて早足になる。

はてさて、気分転換になったかどうか・・・・・・。

はるか北の大地にも似た感触に、心がざわつく。主役のネロを差し置いて、いい散歩にはなったようだ。酷暑の前、風が緑に揺れるこんな日が、いつまでも続けばいい。