夕べ、薄く名月を隠していた雲が、明け方近くになって通りにまだらの染みをつけていた。171年ぶりを数える「後の十三夜」は、真夜中に一瞬、その雲を透かすように姿を映しただけ――ならば、まだはっきり憶えている月の満ち欠けの夜の話を少し――。 浅草六区に…
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