寒い日のラーメン、何とも良い組み合わせ

暑さはもちろん、寒さにも弱いのがビジネススーツ。冬を思わせる今朝は、コートを羽織ってくるべきだった。肩をすぼめて北千住行きの区間急行を待ちながら、一つ隣の乗車口に立つ黒いコート姿に嫉妬するワタシ・・・我ながら可笑しい話だ。黒ずんだ雲が細長く何本も重なるように空を覆っていて、頼みの朝日は期待できそうもない。到着した電車のドアから暖かい風が降りてきて、思わず顔がゆるんでしまった。

事務所の空調が不安定だからという訳じゃない。昼になっても曇ったままで、身体も朝から冷え切ったままだ。何か温かいのが食べたい・・・三人の意見が一致した昼休み、人気のラーメン屋へと向かう。ビルから出た途端、冷たい風が吹きつけてきて・・・やはり、コートは持ってくるべきだった。目当ての「馬賊」は、有名なだけあって“待ち行列”ができている。寒い中、外で待つのは勘弁だ。手打ちのラーメンは次の機会にして、他を当たることに・・・途中、元気なおじさんの呼び込みに惹かれて、海鮮居酒屋のランチも物色してみたが・・・この寒さに“刺身定食”は、さすが遠慮させてもらい、結局、通りを渡った先にある別のラーメン屋に落ち着いた。

二階に通されて、テーブル席に腰を下ろす。換気口が近くにあるせいか、空気が流れて・・・店の中なのに寒くて敵わない。とりあえず、ほっかむりのお姉さんが薦める味噌ラーメンを太麺で注文してみた。いい加減待たされてからやってきた味噌ラーメン、まずは熱々の器で冷たくなった指先を温めてみる。そして、レンゲでスープを一口・・・“にぼしラーメン”というだけあって、魚の味が微かに舌に触れる。濃い味が多い“味噌ラーメン”のスープとは少し違って、こってりした感じがなくて、さっぱりとしている。麺をすすりながらスープを口に運んでいると、段々と身体が暖まってくるのがわかってきた。

味噌らしからぬ淡白なスープは、塩っ辛くもなくて、全部飲み干してしまった。お姉さんに「ごちそうさま」と声を掛けてから一階に降りてくると、調理場の熱気で部屋全体がムンムンしている。こっちの方が暖かくて良かったかな―と思いつつ、格子戸を開けて外に出る。行きと違って、吹く風が気にならなくなっていた。やっぱりラーメンは正しい選択だったようだ。戻り道、気になるもう一軒のラーメン屋を覗きこんでみると、意外と繁盛している。これからは寒くなる一方、近いうちに食べに来ることになるかな?もちろん「馬賊」の方が先だけどね!