“無呼吸”で走らされてみて・・・第三章

午前中最後の走行は、レース前最後の20分間になる。スターティンググリッドで11時20分を待つRM・・・本日初めての“全時間”走行だ。グリーンフラッグに促されてコースイン。高く、長くされたフィニッシュテーブルの手前は、フカフカの土に深い軌跡が何本も刻まれて・・・ここだけは、どうにも馴染めない。止まる寸前まで速度を落として、轍にフロントタイヤを合わせる。毎周、その繰り返しだ。

盛り土の悪戯に苦労するところがあれば、楽しめるところもあったりする。フープスから駆け上がった“S字コーナー”は、どうやら好きなセクションになりそうだ。インとインを最短距離で繋ぎ、車体を傾けたまま、下りながら右に旋回していく。ロードコースのシケインを思わせる配置、コース幅も広くなって攻めて走れるのが楽しい。MX408では数少ない、“競って走れる”コーナーになりそうだ。

ベストに近い状態でラインが出来てきた。狭いけど、そこさえ外さなければ、調子良く走り抜けていける。唯一、テーブルトップの進入だけは、どうにもならない。どうしても流れが途切れてしまう・・・。せめて他のところはしっかりまとめておかないと、レースを楽しむどころじゃない。得意のミニフープスから上り勾配を思いっきり攻め込んでみると・・・右手が大きく捻れて、我ながらいい感じだ。

レースへの手応えを感じながら、周回を重ねていく。全体的な速度も上がって、テーブルトップの進入が悔やまれてならない。そんな思いを抱えながら、練習走行も終盤・・・リズムセクションの真ん中、ダブルジャンプで事件は起きた。黄旗が降られている先に紫と桃色が混ざり合った見覚えのあるウェアが見える。ざりままさんだ!倒れたYZの横で、へたり込んでいる。前下がりで落ちていったらしく・・・いわゆる“前転”したざりままさん。ざりぱぱさんとチームのみんなが駆け寄ってきてマシンを引き起こしている。スロットルホルダーが破損してマシンは走行不能になったけど、身体は何と打ち身だけのよう・・・さすがはママさんバレー“現役”だけのことはある。本人に大事はないみたいで・・・良かった!

パドックで右手を腰に当てて・・・「腰、痛っ」とざりままさん。とりあえず無事を喜びながら談笑していると、いつの間にか3組目の走行時間も終わり、昼休みになっていた。静かなパドックにたっぷりと陽射しが降り注ぎ、時間が一旦穏やかに過ぎようとしている。大盛りのカップ麺におにぎりというちょっと贅沢な組み合わせが本日のランチだ。

<レースは思っていた以上に厳しいものに・・・次回に続く>