“無呼吸”で走らされてみて・・・第四章

昼休みの間にブルで均されたコース、気になるコーナーを歩いてみると・・・緩い泥土が平らに延ばされているだけ。乾いた走行ラインが覆い隠されてしまっている。見た目で判断できない、返って難しい状態になってしまったかもしれない。第一コーナーのイン側に不意に埋もれてしまった左足・・・泥に吸いついた足の底を引き剥がしながら、その思いは確信へと変わった。美しい路面に惑わされないようにしないと・・・。

予定していたタイムスケジュールが変更されて、ピットレーサークラスからレースが始まる。路面が荒らされないようにと、saitoさんの粋な計らいだ。50/70クラスの後は、顔見知りの走る110クラス。“ピットレーサーらしからぬ”走りに、軟らかな路面はあっという間に削り取られて・・・轍が刻まれ出してきた。それでも朝一番とは比べ物にならないほど、状態は良くなっている。続く4ストミニクラスのスタートを見届けてから、ゆっくりとパドックへ。次はオープン85/150クラス、我々の出番だ!

ジャージを脱いでいたせいで支度に手間取り、スターティンググリッドへは、ほとんど最後に到着・・・一番外側から二番目のグリッドにRMを収める。遅れてきたryo+KXは、真ん中より少しアウト側のグリッドを選択したようだ。4ストミニクラスにチェッカーが振られ、いよいよエンジン始動。スターティングボードを掲げるのは・・・いつものiguchi師匠だ。“15”と記されたボードをひっくり返し、一瞬“5”を見せてからコースサイドに離れていく。スタート5秒前、エンジン音が高まっていく中で、一速にシフトしてスターティングバーに神経を集中させる・・・少し長めの間があってから、音もなくバーが地面へと落ちていった。

<最終戦にして初めてのオープンクラス。その奥の深さは・・・本物だった>