希望!

晦日、物の10分もあれば取れてしまうはずだったステアリングのアッパーレースに苦労させられて・・・結局、最後まで取れずじまい。その前の日には、クラッチのハブをネジ切ってしまって、余計な作業と出費・・・割とツイテいなかった年も改まって、今年初のガレージ作業だ。ryoと二人、フレームの“首”をバーナーであぶっては、タガネを二段にかませて・・・ハンマーで叩きまくる。狭いガレージに、鉄と鉄のぶつかり合う金属音が、鈍く細かく響く。やっと浮き上がってきたレースを見て、ハンマーを振るryoの右手にも自然と力がこもる。はたしてコンマ数ミリ単位で、フレームから徐々に上がってくるベアリングレース。引っかかりが少なくて、それまで逃げていたハンマーの力も、直接レースに加わるようになって・・・カラカラーン・・・。下から叩き上げられたタガネの先が、“首”を突き抜けて、外れたレースがガレージのコンクリートに落ちる。二年越しの作業も、今日は30分ほどで終わった・・・。そのままリヤタイヤの交換を始めても、IRCの新品タイヤは苦労せずホイールに収まってくれて・・・今日は何だかめぐり合わせがいい。

満足できるところまで進んだ作業を、まだ陽が残っているうちに切り上げる。シロとネロの散歩も、今日は少し長めにできそうだ。遅れてやってきた太陽と青空は、強い北風と一緒。その風に負けないように、いつもの倍歩いてきても、まだ空は青いままだった。すっかり暗くなってから、“おせち”崩れの夕食。新聞の番組表を眺めると、昨夜と違って興味をそそる番組が見当たらない。ならばテレビの方も“二年越し”と、ハードディスクレコーダーに録画された番組から、一つ選んで再生ボタンを押す。『江』・・・去年の大河ドラマが、今宵、ようやく最終回を迎える。

巷では何かと言われていたようだけど・・・毎回楽しませてもらった『江』。この時代が好きなワタシには、合戦の描写が少なくて物足りないところもあったけど、笑いを誘う演出や人間の心の趣に、ついつい見入ってしまっていた。太平の世で終わることもあって、最後の場面は遠くに山並みを望む広い草原。そこで物語が、穏やかに終わろうとしている。徳川秀忠役の向井理が、馬にまたがった江役、上野樹里の後ろ姿に声をかける。「江、おまえは私の希望だ」と。その声に、やわらかく微笑んで、馬を駆り、草原の一本道を疾っていく江。そして、お市役の鈴木保奈美が見送るところで“完”のテロップ・・・これもめぐり合わせか、年末ではなくて、新年にこそ似合いの話で最後の最後まで楽しませてもらえた。そして、希望を・・・ありがとう!