848 EVO CORSE

やっぱり“行きつ戻りつ”・・・足りない部品が増えるだけで、車体もエンジンもばらばらのRM。あまりにも“練習車”に乗らなかったから、空の上から悪戯されているのかもしれない。雨こそ降らないものの、この三が日は雲に覆われるばかり・・・いかにも雨男がやりそうなことだ。シリンダに排気バルブを組み上げるのは明日にして、今日も早々と居間に戻る。モトスポーツランドしどきから届いた写メールをもう一度眺めては、ひとつため息をつく・・・「あー、走りたかったな」。携帯の画面に映るいわきの空は、青く澄んでいて・・・ちょっとうらやましかった。

居間のテーブルは、正月の間、仕事をしない。コタツに役目を奪われたまま、すっかり物置になっている。そのテーブルの上から、赤い縁取りの冊子をつまんで、コタツにもぐり込んだ。年賀のメール便、差出人は・・・昔、世話になったバイク屋さんからだった。モトクロスを始めるきっかけをくれたDUCATI M900・・・今のところ、ワタシにとって最後のロードスポーツ。PANTAH系空冷2バルブのデスモドロミックエンジンは、存分に“イタリア”を味あわせてくれた。・・・あれから5年。MONSTERは“1100 EVO”の名が冠せられ、最高出力100馬力を誇る、真の怪物に進化していた。

当時を知る工場長やメカニックも、それぞれ別の店を任されているようで・・・こちらもかなり進化している。ただ、瞳をさらったのは、なつかしい顔でも、かつての愛機の進化型でも無かった・・・848 EVO CORSE Special Edition。スーパースポーツ直系の流麗なカウリングは、赤と白、黒に塗り分けられて、つり上がった“瞳”の下には、走行風を取り入れる小さな“口”が開いている。ブレンボの6ポッドキャリパーはラジアルマウントされ、リヤサスペンションは初めからオーリンズ製だ。トレリスフレームも、基本こそ変わらないものの、今見ても見劣りしない出来映え・・・ちょっとそそられてしまう。

「最新モデルが試乗できます」最後に遊びに行った時は、確か916のCORSEに乗らせてもらったっけ・・・少し遠いけど、たまにはスーパーバイクっていうのも悪くない。今では上半身が起きた姿勢に慣れてしまったけど・・・はたしてトップブリッジの下から延びるセパレートハンドルに、手が届くかな?