あみプレミアムアウトレット 9(完)

選んだのは、蝶の飾りが付いた指輪。幼い感じのする細い金色は、いつものkeiの好みとは違って見えた。横に並んでいたプラチナのそれとは、比べるのが可哀想なぐらいのお値段・・・それなのに、彼女は、まるでプラチナの高価な指輪と勘違いしてしまうような手つきで、恭しく金色の蝶をトレイに載せて、カウンター席まで案内してくれた。細過ぎず、ていねいに揃えた眉毛と、切れ長でしっかりした瞳。いかにも化粧映えしそうな美形の女性が、相対した途端に「大仏、見に行きました?」と、いきなり話を切り出した。驚いた拍子に、前に見たその大きさを、少し大げさに伝えると・・・「世界一なんですよ、自慢の大仏です!」うれしそうに、そう言い切る。ちょっといじれば、冷たく知的な女性に変われるほどなのに、「佐貫が地元」だという彼女は、おらが村の大仏様を愛しているようだった。

大して値の張る買い物もしていないのに、その黒ずくめの美女に入口で見送られては、振り返ることもできない。また照れたような微笑みを浮かべては、大通りへと早足で歩いていく。風も光も、まだ強くて・・・大通りの先に、足下を林の中に隠した牛久大仏が、左手を静かに眺めているのが見えた。