如月は春の薫り

昼になって歩く駅前は、風が強く巻いていた。「今朝は、居間のアルミ窓が凍りついて開かなかった」と話したばかりなのに・・・温い風が、街のあちらこちらにながれていく。マウンテンパーカーのボタンを外していても、これなら平気だ。短い横断歩道を二つ、ジグザグに渡って、ロータリーを北に向いて歩く。それでも真正面から吹きつける風は、間違いなく南からやってきていた。マクドナルドの前を通り過ぎ、今度はちょっと長い横断歩道をまっすぐに渡り、ステーションガーデンタワーの下に急ぐ。ちょっと開けた広場をそのまま抜けて、エスカレーターで3Fに上る。今日の昼食は・・・メシトモの一言で、南インド料理を売りにした行きつけの店で、カレーと決まっていた。

インド人の店長が満席の店内をうまく整理してくれて・・・四人掛けのテーブル席に座り、ワタシは日替わりメニュー、メシトモの一人も同じメニュー、そして、言い出しっぺのもう一人はラムカレーを、それぞれゆっくりと腹に収める。話題の半分はAKBだ。サービスのホットチャイを飲み干してから、来た時と同じ道を逆にたどって、階下へ降りていく。風は、相変わらず強くて温い。遠くに見えるパチンコ屋の軒先に並んだ作り物の菜の花が、本物の春風に揺れていた。今晩から、また寒くなる予報だけど、それも二日ばかり。節分まで我慢すれば、また暖かくなると言う。もう少しの辛抱だ。体を上下に揺らすように歩いていたら・・・何だか急に鼻がむずむずしてきた。どうやら風は、“厄介者”も一緒だったらしい。こちらはこれから・・・少し長い辛抱になりそうだ。