平和島~後編1/2

<2012/1/31の続き>

歩道に面した裏口から入ると、ゆとりのあるエレベータホールが出迎えてくれる。エレベータが四基もあるのは、さすがに数百人を飲み込むビルだけのことはある。ほんの数秒待って下りてきたエレベータの中に入り、“4”と書かれた透明の四角いボタンを押す。淡い明かりが灯ったと思ったら、あっという間に4階に着いた。開いた扉から外に出て、右手の奥にある入口まで歩いていく。唇が渇く感じがするのは、ちょっと緊張しているのかもしれない。

それから一時間して、ひどく真面目に打ち合わせが終わった。そのまま帰ろうとしたら・・・「説明の続きを聞いていってくれ」と、入門証を手に今日の“ホスト”が戻ってきた。仕方なく一緒に、中に続くもうひとつの入口へと付いていく。セキュリティドアは、田町にあるビルと同じ仕組み。電子音も同じような高い音色で、ホストのかざしたカードに反応して、ロック状態がすんなり解除される。案内されるまま中に入ると、喫煙室が無くなった東側の空間に、洒落たテーブルとイスが、ゆったりと配されていた。

<つづく>