まぶしくて、ぜいたくな午後 4(完)

<4/3の続き>

「少しはマシンもいたわってやらないと」天気予報士もあきれてしまうほど、雨の週末がもう何週間も続いている。MCFAJは二戦続けて雨にやられて・・・レースだけじゃない、雨が降りしきる土曜日に、雨あがりで泥まみれの日曜日。チェーンやスプロケット、ブレーキパッドといった消耗品は、泥にあらわれて、ヤスリをかけたように摩耗していく。スイングアームのリンク周り、その摺動部のグリスも格好の餌食だ。そろそろ乾いた土の上で走りたくもなる。そんな二人の眼下。顔見知りのSEライダーが、CRF150RⅡのリヤタイヤを左右に振りながら坂を下りてくる。こちらに向けたAraiのヘルメットも、「まっすぐ走らない!」と左右に大きく揺れていた。

昨日の土砂降りは、さすがに一晩で乾くのは無理だった。それでもuchinoさんと、尻込みしている二人のダメ振りを笑い飛ばして、明るく午前中をやり過ごす。こんなぜいたくができるのも、“魔法の券”のおかげだ。昼休みをはさんで、ようやく“逃げない”土が顔を出してきたコースに、RM85Lを走らせる。saitoさんがブルで均してくれたホームストレートよりも、フープスを抜けて大きく左に回ってから跳び出すバックストレート。誰も走ろうとしない、その直線のアウト側が、とても具合がいい。用水池に沿った路面は、春が来て陽射しが落ちてくるようになり、“ミディアムレア”な感じに乾いていた。

走るマシンに荒らされてもいないから・・・まっすぐな光が、土の隆起をそのままに照らしている。左に深くマシンを傾けたまま加速する優越。まぶしくて、ぜいたくな午後だ。