ご機嫌な別れ 2

浅草寄りの、いわゆる“裏口”になる改札から、いつものように常磐線へと乗り継ぐ。普段と変わらない人の波がTXの改札からあふれてきた。斜め左に向かって歩きながら、短く左右に体を揺らして、ひとりひとりすり抜けていく。2番線に取手からの快速電車がすべり込み、扉が開くとすぐ、ホームが人で埋めつくされてしまった。勢いが無くなるのを待って、チャイムと一緒に5号車に乗り込む。人いきれがうっすらと窓ガラスに残り、外の景色をにじませていた。つり革に伸ばした右腕に、天井から、強烈な冷風が吹きつけている。JRの職員は、客車の温度を少しは気にかけた方がいい。それほど、常識外れの冷たさだった。

ひさしぶりにネロが同伴。到着が遅れたのは、リードを忘れて取りに戻ったから。ここで拾われたことを知る人ばかりが揃った今日のMX408。ネロを見ては手をかざしてくれるけど、人見知りなのはチビの頃から変わらずだ。愛想のない奴とパドックを隅から隅まで歩いているうちに・・・iguchi師匠とmachi-san、二台のCRF150RⅡがいなくなっていた。二人に先を越されるとは・・・あわててBongoからRMを降ろして、荷室に入ってバックドアを閉じる。昨日の“夏日”に気を良くして、thorのamazonもランドリーバッグに詰めてきたけど・・・曇天の下、黒地に水色の濃淡が配されたoneに着替える。バックドアをもう一度跳ね上げると、スネークの竹やぶから、4ストの爆発音がはね返ってきた。

<つづく>