ご機嫌な別れ 10(完)

先週、オイル受けを忘れてできなかったミッションオイルを抜くのに、キンキンに熱くなったRMのエンジンが冷めるまで、ネロをコースに放してやる。バックストレートでsaitoさんの操るブルドーザーが、唸りを上げている。それとわかる機械音を発しては、キャタピラが撒き取られ、ブルドーザーが前後する。「何してんの」と師匠に茶々を入れられながら、ドレーンボルトを外すと・・・まっすぐ一筋のオイルがオイル受けのボロ紙に飲まれていく。濃い墨汁のように、粘り気がなく、真っ黒な液体が落ちる。色だけじゃない。軽く“玉ねぎの腐った”ような臭いが鼻をついて・・・「クラッチ、焼いたかな・・・?」。他人のCRFを心配しているどころじゃなかったようだ。

動きたくない体をそのまま放っておいたら・・・パドックはBongoだけになっていた。最後になるのは、何年ぶりだろう。ここまで残ることは、めったに無い。力を出し切ってクタクタの体をBongoの運転席に押し込めて、ブルドーザーに届かないクラクションを、ひとつ。傾いた太陽の前に、厚く雲が広がって、西の空全体がボワッと膨らんで見える。たった一日だけど、いつもの倍は走った気がする。この次に乗る時は、いったいどんな曲線が描かれているのだろう・・・このレイアウトで走る最後のコースを存分に楽しんで、休日が暮れていった。これで明日は・・・少し落ち着いて仕事ができるかな?正味三日で生まれ変わるMX408。龍ヶ崎のホッケンハイムリンクになるのかどうか・・・今から楽しみだ!