梅雨の晴れ間に 7

<6/29の続き>

「午後になったらベストだよー」ヘルメットを脱いで、上気した顔のオヤジさんが笑い、吠える。その言葉を待つまでもなく、はまったぬかるみを避けるように大回りして、父子のトランポの横、クヌギの木陰にBongoを差し込んだ。また少し高く上がった太陽から、陽射しが枝葉の緑に揺らめいている。遅れた分を無言の動きで取り戻し、11時になる前には、RMのフロントタイヤをコースの入口に着けた。午前中に二本は走るつもりだ。盛土を乗り越えながら、左にハンドルを切って、右足の裏に力を込める。

テーブルトップから弾むようにステップダウンを下りる。続く直角の右コーナーは、幅もバンクもちょうどいい感じ。ここは、インの頂点をかすめていくのが正しいようだ。渇いた赤土に、うっすらとワダチが刻まれている。すぐにシングルジャンプ。ツンと突き出た跳び出し口からは、かなり低いところまで落とされる。RMのサスペンションがガツンと大きな音を立てて・・・フロントから落とすと、フルボトムしたフォークからハンドルに衝撃が伝わり、ギギッと上半身がきしむ。

下った後は、小さく90°ずつ、右から左にクランクしている。立ち上がった先には、のこぎりの歯のように、鋭利な角度に揃えられたコブが5つ。以前のゆるいウェーブは、すっかり砥がれていて、RMの短い車体を激しく上下させる。油断していたカラダがマシンから離れそうになるのを何とかこらえて・・・もう一段下へ、短く跳び下りる。日陰の大きな右コーナーは、外側に“一本ライン”。ここを外すと・・・一気に路面へ、へばりつくことになりそうだ。

<つづく>