真夏の祭典! 9(完)

ラスト1周。10分間に短縮されたせいか、ずいぶん短いレースだ。「えっ、もう」とボードに顔を残したまま、平坦になった左コーナーを小さく、そしてすばやくマシンを起こして、続く短いストレートで、一瞬全開にする・・・KTMは、もう第二コーナーを立ち上がっていて、RMの正面から消えていく・・・でも、まだ諦めたワケじゃない。レースは何が起こるかわからない。チェッカーを受けるまでは、たとえストレート一本分離れていても追いかけるだけだ。無人のフープスに、土煙だけが薄く残る。その先にいるKTMに向かって、最初のコブを跳び上がった・・・。

結局、何も起こらないままチェッカー。悔やまれるのは、何度かアウト側にラインを外したuchinoさんを、インで詰め寄れず、同じようにアウトを走ってしまったことだ。パドックでそのことを話すと、汗を浮かべた顔で何度もうなずいた。「速くなったよ」・・・4台中4番目でも、uchinoさんにそう言われると、もう笑うしかない。そして、gotoさんもkiuchiさんも、nagashimaパパも・・・みんな笑顔を向けてくれたのが、もっとうれしかった。TEAMナノハナは、ここで育つ・・・真夏の眩しい空に、たくさんの笑い声が溶けていった。