続 アラバスタに雨が降る 3

<9/5の続き>

まったく可笑しくてたまらない。「笑っちゃうねー。どうだよ、この加速」。フープスの終わり、RM85Lを寝かせたまま右肘を直角に立てて、左に大きく旋回。わずかばかりもズレることなく、黄色の車体は、ただ前へ出る。まるでレールにはまったジェットコースターのように・・・バックストレートを駆ける。

ふくらみが少しだけ白くなったコブを三つ、全開で跳ねていく。あまりに早く直線が終わってしまって・・・あわててブレーキレバーに指をかける。右の人さし指が、そのままフロントタイヤを路面に食い込ませて・・・そうしている間にもう一度、左へマシンを傾ける。つぶれた粘土が、リヤタイヤに絡みつく。

一番倒れたところから、鈍らな半クラッチを当てて立ち上がる・・・何も考えず、ずぼらに右手をひねっても、ぐいいと前に出ていく車体。右手を動かすのが、まったく楽しくて仕方がない。リヤサスペンションがずんと沈んだまま加速するRMは・・・ここでも、まるでジェットコースターだ。

“カチパン”が見えなくなって、スネークヒルの斜面でさえ、タイヤ痕が残されるようなやわらかさ・・・第二のホームコース、モトパーク森でも走っているような、上等な気分だ。新しく用意された小さな三連ジャンプだけは、その尖がりも軟くていただけないけど・・・一周回ってきたら、もう笑うしかなかった。

<つづく>