続 アラバスタに雨が降る 10

もう何も望めない・・・雨上がりの昼休み、足下を勢いよく流れる泥水に、気分もさらわれていく。さすがに“第二波”は余計だった。いくら渇ききったMX408でも、今度ばかりはまともには走れない・・・ひとりそう決め込み、モトクロスブーツを外して辺りを見渡す。すると・・・隣のtohdohさんは迷っているし、nakaneさんもuchinoさんもマシンを洗う気配がない。これから走る気なのか? 1時になって午後の走行が始まって、また、彼女が“一番手”で出ていった。一時間は経ったといっても、マディは覚悟のはずだ。追いかけるようにしてコース脇へ、お父さんとお母さんが走っていく・・・。マディのMX408を彼女がどう走るのか・・・その興味を満たすためだけに、片付けるのは後回しにして、スネークヒルの斜面へと足を向ける。水たまりを避けながら、うつむき加減で歩くワタシに、「あれ?走らないの」と元気な声が届いた。片手にヘルメットを持ち、もうすぐ走ろうかというuchinoさん。その向こうには、もうヘルメットを被ってマシンに跨っているnakaneさんが居た・・・。

<つづく>