ラストダンスは・・・踊れない

昼を回って、午後1時。雨の降る気配は、まったく無い。二度寝から起きてずっと、空には白い積雲が散らばっているだけで、その間を太陽が出たり入ったり・・・風もおだやかで、台風の影すら見えない。すっかりやられた感じだ。このところ、天気を読み誤ることが多過ぎる。晴れの予報を期待していれば雨が降るし、雨かと思っていたらひと粒も落ちてこない。今日のレースも、あっけなく取り止めて・・・すっかりズレたRM85Lとの時間は、結局戻ることなく、ゆるやかな南の風に乗っていってしまった・・・。

小貝川を渡り、取手の市街地に向かって利根川沿いを走る。開け放したbongoの運転席から、安室奈美恵の声が流れ出す。フロントガラスに差し込む陽射しは、来る時とひとつも変わらない。悔やんでも仕方がないけど・・・空に向かって「バカヤロー!」と小さく吠えてみた。あと2時間でレースも終わる、きっとそれまで、嵐になることはないだろう・・・。でも、台風にさらわれたココロは、後ろに居る“相棒”が何とかしてくれるはずだ。バックミラーには、白いゼッケンプレートが大きく映っていた。