地獄の獣神 ~1/3

仕事では絶対に聞きたくない「一週間の“前倒し”」で、例の新作がやってくるらしい・・・。この邦題をつけたコピーライターに、拍手を送りたい。

朝の冷たさに陽射しが広がって、秋らしい一日が始まる。金曜日のバス通りは、いつもよりクルマが少なめ。“長居”させられるバイパスの信号も、右折車に邪魔されがちな交差点も、今日のcarryは、すんなりと抜けていく。空の明るさがフロントガラスから入り込んできて、抜群にリズムの良い朝だ。

昨日はギリギリの時間で、改札の正面にある本屋に寄れなかった。けど、今日は始発の中目黒行きがまだ停まっているから・・・5分以上は余裕がある。エスカレーターを上って、降り口から緩く斜めに歩いて、裏手の入口を目指す。何と今日は“ポイント2倍”、良いリズムは続くようだ。

それを崩さないように「何か雑誌でも」と、入口に近いところの文庫本の平積みに視線を落としながら、ずんと中へ進んでいく。この時間にしては、めずらしく客はまばら。これなら、“レジ待ち”でイライラすることも無い。そのままビジネス雑誌と情報誌が並べられている書棚の前に立って、手を伸ばそうとした時だった・・・。

<つづく>