初レース! 4

12分の公式練習と、周回数が5周のレース。どちらも最後に組まれているのは、おまけのクラスなら仕方がない。小学校の運動会みたいに長い“演説”、目の前の勝負にはあまり関係のない役員たちの挨拶が続き、コースを代表して、我らがsaito“マネージャー”の一言が終わると、待ちかねたように最高峰のGP・SEクラスのマシンが、破裂音を響かせる。受付で味わった段取りからは信じられないほどの速さで、大会プログラムが動き始めた。夕方からの雨とどちらが速いか・・・そんな勢いに流されまいと、さっさと着替えを終えて、KXのキックペダルを踏み下ろす。すっかり太陽の場所もわからなくなった曇天の下、細く乾いた高音が、白煙と一緒にサイレンサーの口から吐き出される。20℃に、はるか届かない気温も、コイツにはちょうど良いらしい。チョークレバーを元の位置に戻して、少しスロットルを煽っていれば、すぐにアイドリングが安定してきた。あとは、10ヶ月ぶりにMX408を走るryoを心配するだけ・・・しかもマシンはmuraのCRF150RⅡだ。緊張したココロのまま、いったいどこを歩いているのか・・・辺りをうかがっても、姿は見えなかった。

<つづく>