初レース! 14(完)

<11/30の続き>

四周目。車体が刻む拍子とカラダとが、フープスの上で離れ始める。何度かKXのシートに尻を突き上げられて、そのたびに上半身が前のめりにこぼれそうになる。それでも何とか両腕でハンドルバーを支えて、出口に向かってインに寄せてくるCRFの、さらに内側へとKXをねじり入れる。驚いた師匠が、わずかにスロットルを戻した瞬間、ようやく視界から赤の車体が消えて、見えなくなった。バックストレートも左端を加速して、そこから先は、すべてのカーブでインを塞いで走り抜ける。その同じ線の上に、再びRM250のテールカウルが現れた。

五周を走りきって、結局目の前にRM250を残したまま、チェッカーフラッグ・・・。いつものsaitoさんじゃない、MCFAJの大会役員が、どこか事務的に旗を揺らしている。ちょっと物足りない・・・不甲斐ない走りもあって、見上げる空と同じどんよりした気分を抱えて、コースを出ていく。KX85Ⅱのデビューレース、結果はとても満足できるものじゃないけど・・・“無傷”で終われたのは何よりだ。bongoの後ろでKXにサイドスタンドを掛けたところで、ryoとCRFがにぎやかに戻ってきた。右腕を上げて、手首を肩の上でぶらぶらと振っては、ヘルメットを左右に揺らしている・・・。

「腕が上がって、全然ダメだった」という割には、「ダブルジャンプを跳んだよ」と話し、ゴーグルを外した瞳は、丸く笑っていた。