休日、午後5時のTOKYO。

『ALIVE Ⅱ』のKing Of The Night Time Worldがヘッドホンから流れてきた。『MONSTER』のボーナストラックにも収められた曲は、音が詰まって新品のような響きだ。やれた感じが少しもなくて、ポールのリードボーカルも、エースのギターソロも、ジーンとピーターのバックコーラスも、どれもがしっかりとしていて・・・ライブなのに、スタジオテイクに聴こえてしまうほど。まぶたの裏に、中学生のワタシが“火吹き”の真似事をしている。

ただ、こうして聴き比べてみると・・・全盛期の頃よりも今のほうが、ライブ感にあふれている気がする。雑味のある音が、かえってイイんじゃない?聴いているワタシも、同じように年月を過ごしてきているからなのかな?・・・ほろ苦い思い出と感傷に浸っているうち、電車が北千住の駅に到着した。

夕闇が街を包むように降りてきて、西に向いたマンションが淡い橙に染められ、色をどんどん濃くしていく。あと少しで5時になるところ・・・冬至を過ぎてから、日の入りも少しずつ遅くなってきた。明日の朝も、また同じ線路の上にいると思うと、この時間にこうして電車に揺られているのが、不思議な気分だ。思いは複雑でも、東京駅での夕食に向かって、電車は走り続ける。終点の上野駅、開け放たれたドアからは冷気が入り込んで・・・見上げた空が、藍色に沈みかけていた。