ヘタクソ!

飲みかけの杏酒に氷が融け出したように・・・西からうっすらと色を失くしていく。ほのかな橙色が、ほとんどわからなくなった空には、灰色のちぎれ雲がいくつも浮かんでいる。そこから東へ・・・黒を強めていく空と雲に、月がにじむ。「明日辺りが満月かな」、隣でささやくryoの横顔に、街灯が映り込んだ。アスファルトが、ヘッドライトのやわらかな光に浮かび上がる。視界の開けた交差点まで来ると、西の空には、もう明るさが残っていなかった。

今日の“当たり目”は0(ゼロ)だった・・・。二枚ともハズレくじ、しかたがないから二人分の“300円券”で2ストオイルを買って、利根川の北側を西へと走る。途中でokano師匠に教えてもらった「SAVE ON」に寄り道、帰りのおやつを“肉まん”と“肉コロッケ”にして、自動ドアの外へ出る。出入口のそばに、埃をかぶった雪の山が融けずに残っていて、それが風の冷たさを増長させる。クルマと店の短い空間、肩をすぼめて小走りに抜けていった。

にぎやかな十字路を左に曲がれば、取手駅に続く、いつもの県道に戻る。ひさしぶりに3時30分のチェッカーまで走って、westwoodでも、のんびりしていたからか・・・通りのクルマは、思いの外ながれていた。

<つづく>