ヘタクソ! 3

逆光の中、スネークヒルが濃い褐色にうねっている。頂上で間引きされた竹林からは、光がゆらゆらとすり抜けてくる。コースの入口を見ると、べったりと濡れそぼっていて・・・どうやら寒いだけじゃ納まらないらしい。「こんな日で良いのかよ」と助手席に視線を戻すと、ひさしぶりのMX408にryoが、大きな瞳で前を見ていた。先客は6台ほど・・・だから、7台目と8台目の到着だ。先客の中には、kawasaki#31さんやmukaさんの姿がある。受付をすませて、いつもと少し違った雰囲気へ、Bongoを乗り入れた。

あちこちに水たまりが残って、目に見えるすべてが湿っている。「あの辺が良いんじゃないの?」ryoが指さしたのは、いつもは停めないようなパドックのど真ん中。でも、乾いているように見えていたのは上っ面だけ。マシンを降ろすのに何度か同じところを踏みつけていたら、下から水がしみ出てきた。べちゃべちゃと音を立てて、地面が靴底にへばり付く・・・三日前の木曜日、お湿りぐらいに思っていた雨は、行き場を無くして、ただパドックを重たくしていた。この分だと、コースのほうも大体想像がつく。「だいぶ乾きましたが、マディのところが残っています。気をつけて走行してください」9時から走り始めた連中を押し出すsaitoさんの声も、どこか湿った感じがして・・・雲のない空に、太陽がいてくれることだけが救いだった。

<つづく>