春よ、来い! PartⅡ

夕方のラッシュにもまれながら、すべり込んできた土浦行きの常磐線に乗り込む。扉の近くを避けて、ちょうど座席の真ん中辺り。つり革につかまって、動きはじめた車窓から東の空を眺める。不規則に並んだビルのすきまからは、月が見え隠れしている。まだ宵の口で、ずいぶん低いところに浮かんでる。薄黄色した姿は、和菓子のようで、甘くておいしそうに映る。時をおいて、天空に昇ってしまえば、冴え冴えと小さくなってしまう・・・今、この瞬間が“食べ頃”だ。

どこからともなく雲がやってきては、その月の前を黒く流れて消えていく。地元に帰れば、夜半には雪が降るというから、この月もすぐに見えなくなっていくのだろう・・・。今宵の雪を境にして、少しだけ季節が進んでくれるらしい。気がつけば、2月もあと2日・・・寒くて寒くて、じっとしていられないほどの冷たさも、暦と一緒に消えていくのかもしれない。次の3月は、ワタシの生まれ月。桜には早いけど・・・ナノハナが咲きだす、春の季節だ。