ちょっぴりぜいたくな帰り道

四日間。

連休後半と同じ数の平日は、「わずか」と言うにはいろんなことがありすぎた。それもこれも全部、月曜日に追いやり、特急「りょうもう」のリクライニングシートにカラダを沈めて、ぜいたくに帰る。5号車、通路側のワタシの隣、窓側のシートには、ピンストライプのスラックスに、はっきりした色味の青いカッターシャツ。足下に黒いスニーカーを覗かせ、真っ白な歯を厚くて力強い唇で隠している。瞳の周りの白い“輪”も、ここまで顔が褐色ならば、そこだけ浮き上がって映る。北千住を出て10分もしないうちに、にぎやかにいびきをかきはじめた彼・・・異国の地で、郊外へと向かう私鉄電車の中、何を夢見ているのだろうか・・・。

それから20分、そんな彼をおいて、先に電車を降りる。コンコースから見上げる漆黒の空に、星は見えなかった。