もっと自分らしく・・・

東から吹く風に、あれほど熱かったカラダが冷たくなって・・・傾げた陽射しの当たる背中から右肩にかけてだけ、ほんのりとした温かさが乗っかっている。iguchi師匠が手に入れた、“1位”と記された楯を代わりに抱えて、今さらながらに悔しくてたまらない。それは、最終ラップで師匠に刺されたからでも、それがフープスだったからでもない・・・ヒート2、スタートしてチェッカーフラッグを受けるまで、一度もアウトを走らなかった弱気な自分が、ただただ悔しかった。

「先行逃げ切り!」なんて言ってはみたものの、ほとんどできた例がない。2ヒートのレース、本番でうまくいったのはスタートだけ。ヒート2は、それがアダになった・・・。「全然ダメ。思い切れなかった・・・少しはアウト、回れば良かった」と、パドックに戻って息を吐くワタシに、「自分らしく走らないと・・・ずっとインベタで、最初から守っちゃって・・・ガチガチに固く見えた」と、saitoさんがそう教えてくれた。まったく返す言葉が見つからない。一度でも、いつものようにコーナーの外へとはらむように走っていれば・・・むしろ、それで転んだほうが、思いっきり笑えたのかもしれない・・・。