makio!? 終

<7/26の続き>

キャブレータのように重たいスロットルバルブを引っ張る必要がないからか、回す右手に勢いが付いてしまうほど、スロットルグリップは動きが軽やかだ。まるで抵抗がなくて、最新型のスマホを指でなぞっているよう。これじゃあ「負圧でスロットルバルブが張り付いて」・・・エンジン回転が落ちなくて怖い思いをするなんて、誰にも信じてもらえなくなりそうだ。走りながら、左手のほうは握ったり、開いたりをくり返す。袖口の大きく開いたTシャツ。ハンドルに添えた両腕を風が駆け上り、そこから背中へ抜けていく。クシタニの革製グローブが、あまりにしばらくぶりだったので手になじまないのか?それとも最初からグリップの太さが外国人の手に合っているのか――とにかくグリップの握りが浅くなってしまう。

わずか200cc。昔の缶コーラにも満たない排気量では、ガラ空きの田舎道、エンジンを慣らして走るのも気が引けてしまう。ほとんど動かず、角度の固定された右手が、べた凪のようにdukeを走らせる。デジタルメーターの表示は65km/hを行ったり来たり・・・これをまだ950kmも続けなくてはならないとは。気が遠くなって、崩れそうだ。

利根川を渡りきって、たまらず国道から離れていく。大きな交差点、歩く人もいない田んぼの中の歩道に乗り上げて、背中のバッグから取扱説明書を取り出す。シフトアップの目安にする警告灯を、慣らし運転の回転数に合わせて再びdukeを車線に戻す。段差を乗り越えるサスペンションの突っ張った固さが、妙に心地いい。

いつもの農道をやめて、我孫子の駅前から手賀沼に下り、大きく迂回。できるだけ遠回りになる道を探して走る。スルスルと回る4スト単気筒に、案外快適なシート。コイツとなら、どこか遠くへ出かけても、いいかもしれない。