7月最後の日曜日は

薄い水色と白に塗り分けられた車体に、色味を合わせた揃いのレーシングスーツ。真夏の陽射しを受けたら、路面にとけ出してしまいそうな淡い色気は、原色をまとう姿に慣れた瞳に、どこか頼りなげに映る。そのうえに、ウェイン・レイニーのヘルメット。赤色を多く配した往時の意匠が、ヘアピンを立ち上がる。走り去る後ろ姿、ちょうど腰骨の下あたりに縫い付けられた赤い“ダイネーゼデビル”が、小さく微笑んでいるように見えた。

背骨を反らすように伸ばし、リーンアウトの姿勢で外側からマシンを寝かし込んでいく。“ピノキオ”と呼ぶには、すっかり「とうが立って」しまったけど、同い年のヒーローは、すぐ目の前を“全速力”で駆けている。彼がGP500をRGV500γで走っていた頃・・・優勝すれば必ず決めていた、あの“スタンディングガッツポーズ”を見て、何もわからず真似していた小僧が今、ワタシの横でその姿を追いかけている。「しゅわんちゅ!」と言って、両手を上に突き出していた、あの小僧が・・・だ。

<つづく>