この次は・・・ 後編

<11/25の続き>

陽が大きく落ちてきて、ホームストレートの中に立つテーブルトップジャンプは、逆光の陰。黒くかすんで映るだけで、斜面の始まる位置はまったくわからない。怖くて、そのずっと手前からフロントブレーキを引きずっていたら、ほとんど止まりそうなくらいまで速度が落ちてようやく、KXのフロントタイヤが、傾斜をつかんだ。テーブルトップをやり過ごして、何もできないまま、もうふた山を乗り越えて、右コーナーのバンクに車体の傾きを合わせていく。

「アウトを回ったら、あそこは跳びきっちゃったほうがイイですよ」。青ゼッケンのkatoさんに事もなげに言われたことを思い出して、その“アウト”から半クラッチでエンジン回転をあげる。ひとつ目のコブを跳び出し、着地してからもう一度半クラッチを当てて、斜面にKXを押し当て跳び上がる・・・。

「膝を入れて!」とも言われていたのに、カラダを動かさず、ついつい勢いだけで跳ぼうとするからいけない。キャメルのコブの上、“ウィリー”でもしているかのように、フロントタイヤが思いきり空を向く――まるで、素人だ。上半身をそのフロントタイヤにかぶせるようにして、リヤタイヤから先に地に下りる。あとわずか――フロントタイヤだけがキャメルの向こうの傾斜に落ちて、あと少し、届かなかった・・・。

それでも今日はkatoさんのおかげで、何度かココを跳びきっている。“森”で頑張って走ったからか、ジャンプが下手なワタシも、ちょっと成長しているような気がする。「この次は・・・」、katoさんも迷っている、“乗り越える”だけのダブルジャンプに挑んでみようか。調子に乗っていれば何とかなるかもしれないし・・・ココを跳んでみせて、師匠連中にひと泡吹かせたいし・・・。眩しい西日が、そんな気分にさせてくれる。フープスを抜けて、バックストレートを疾って――光と影が、コースをうごめいていた。