MC戦記(第1戦) 8

とにかく息を止めないように気をつけて、長くも短くも感じなかった15分を走り切る。なのに、右腕が軽く腫れあがり、チカラが入りにくくなっているのは、やはりレースに興奮しているせいだろうか・・・。スネークヒルの下り坂、その縁に立って最後の組の練習走行を眺めているうちに、もう、1組目のレースが始まろうとしていた。アナウンスに誘われ、続々とスターティングエリアに集まってくるマシン。決勝レースの最初は、「E&J450」クラスからだ。

抽選順にグリッドに収まったフルサイズマシン――跨るライダーが、日章旗の動きに呼応して一斉にキックペダルを踏み下ろすと、スターティングエリアが轟音に包まれる。スタート5秒前のボードから数えて8秒、割と長めの間隔を開けて、スターティングバーが倒れた。押さえ込まれた勢いが堰を切って解き放たれ、あっという間に第1コーナーにマシンがあふれた。今日のスターターは、少し焦らすのが好きなようだ・・・。

<つづく>