MC戦記(第1戦) 7

<2/6の続き>

フープスの後の高速コーナー。ここから直線が延びてスネークの入口まで、すべって転ぶとかなり痛い目に会ってしまうけど――ココでのお気に入りだ。おまけに今日は、前にも後ろにも新品のタイヤをはいている。気分良くカラダをシートにあずけて、左に傾いた車体のまま、無造作にスロットルをひねりコーナーを立ち上がり始めると・・・途端にマシンが大きく震え出した。まだ1周もしていないのに・・・のっけからひっくり返るところだった。

散水も雨も、固く締まった土の中にはまったく染み込まず、上っ面をただゆるくしているだけ。いくらヒゲのあるタイヤでも、すべらない方がどうかしている。ヘルメットを左右に振り甘えた気持ちを捨て、両ひざでタンクをはさむようにして、戻したスロットルグリップをゆっくり開いていく。お気に入りの最後は、バンクが反り返った右コーナー。KXがそのバンクに向かって、まっすぐに突っ込む。斜面に陽射しが当たり、その縁が白く光っていた。

<つづく>