初夏の軽井沢 7

<5/29の続き>

スタートしてしばらく、ワタシのKXなら3速で吹け切るころまで直線が続いて、右へ直角に曲がる。そこからは上り勾配。固くて細かいギャップを踏みつけながら、ゆるく左へ山肌を巻くようにして上っていく。小さな加速が途切れないように、右手はひねったまま――リヤタイヤがギャップを超えて路面を離れるたび、シートから後ろが左右に揺れる。荷重の抜けたフロントタイヤも、瞬時にギャップではじかれるから、スタンディングの上半身を前に屈めるようにしてマシンを押さえ込む。無意識のうちにハンドルバーを握る腕にも力が入って・・・腕はガチガチに張っていく。レース後半、元気のいいCRF150RⅡがワタシを抜いてすぐ、派手にスリップダウンをやらかした――短い練習走行の間に、ヒザとココロを傷つけたのも、この痩せた上り坂。“上り”に気を許していると、痛い目を見ることになる。ここを上りきると足下が鋭角に落ち込み、“く”の字を奥に倒したように、下りながら右へと切り返すカーブが待っている。もうひとつ切り返しがあれば、さながら“コークスクリュー”といったところか。ラインの外側には、ふっくらした砂の山。アウトにはらもうとすると、その砂にタイヤがつかまり・・・ここばかりはインべたで回るしかない。下り勾配の残る立ち上がりにも、いくつかのギャップが刻まれ、直線なのにヒザを休める暇は見当たらない。

<つづく>