曇りのち雨 2
エキスパートとジュニアが一緒になって、今年から新しくできたEJ150クラス。この初めてのクラスに昇格したryoが、最終コーナーを右に旋回して、連続ジャンプの陰に消えていく。ひとつ前のレースをその連続ジャンプのすぐ脇で眺めていたら、すっかりグリッドに入る時間が過ぎてしまった。
振り返った先、スターティンググリッドに、ほとんどのノービスクラスのライダーが納まっている。入れていないのは、12番クジのワタシの、さらに後ろのクジを引いた数台だけ。マジックで「12」と書かれた杭に立てかけられたKXも、軽く左に傾いたまま、主を待ちくたびれていた。
つや消しの黒いガソリンタンクと黒いビニールシートの上に、雨粒が残っている。後ろのライダーには遠慮なく先に入ってもらって、昨日から決めていたグリッドへKXを転がしていく。右端から2つ目のグリッド、第1コーナーのアウトバンクにまっすぐ届くように、フロントタイヤを少し左に向けてマシンを納める。
目の前を何台ものマシンが翻り、その中にryoの姿を探すゴーグルに、ポツリと雨が当たった。
<つづく>