ツーリング!

モトクロスを始めて、すっかり遠乗りをしなくなった。

3.3㎡のガレージには、窓際にCRF150RⅡとKX85-Ⅱが寄り添って並び、反対側の壁でスチール棚とカラーBOXが、工具を広げた木製のベンチをはさんでいる。橙色のDUKEは、そのベンチの横にサイドスタンドを立てて、GROMは外でシートをかぶっている。ガレージの壁にはパイプ製のハンガーレールが渡り、色褪せてくたびれた朱色のジャケットが無造作に掛けてある。袖のワッペンはかすれて、文字も読めないけれど・・・富士山をかたどったマークだけが、薄くぼやけて浮かんで、反対の袖には「GORETEX」の意匠が縫い込まれている。

昨夏、金精峠を走ったときも、赤城山の南面を往復したときも、腰にこのジャケットが巻かれていた。峠で寒くなっても、急に雨が降ってきても、カッパはいらない。合わせるブーツも同じメーカー、撥水レザーにGORETEXをはさんだショートブーツ。住む場所も変わり、マシンも変わり、走る仲間も変わった。もちろんウェアも古くなって何度も買い換えた・・・それなのに、この組み合わせだけが、ずっと変わらないでいる。そのブーツも昨年の暮れ、とうとうソールがはがれてしまった。

ソールがめくれたまま、販売元にショートブーツを持ち込んだら、うれしそうに驚いて修理を引き受けてくれた。もう10年以上、ワタシとryoが代わる代わる履いてきたブーツは、もちろん買い換えるよりも格段に安い金額で、真新しいソールに張り替えられて帰ってきた。「これでまた、しばらく大丈夫ですよ、どんどん履いてくださいね」。あのとき「クシタニ」を選んだ自分をほめてやりたい。このレトロな組み合わせが待つのは・・・kusaba家からのツーリングのお誘いだ。

伊香保の石段や草津の湯畑を、muraとhideさんと三人、そぞろ歩きした日が懐かしい・・・。