春のヒカリへ

雨上がり。すっかり寒さの染み付いたカラダに、湿った春風がまとわりついてくる。季節は行ったり来たりを繰り返しながら、ほころばせた桜の花を落として、緑を揺らす。空が少し明るくなって、灰色の雲がところどころ、薄く輝きはじめる。このところ鳴りを潜めていたひばりが、その裂け目をめがけ羽ばたいて、高くけたたましいその声は、雲の上、春のヒカリに溶けていく。