やっぱり・・・

どこへ行くにも、まったく早起きできなくなってしまった。

前夜、ベッドにもぐりこんでも目が冴えて眠れなくなるような、ワクワクする気持ちは・・・・しぼんだ風船のようにひしゃげて、いつしかすっかり小さくなっていた。地図を広げてみても、関東甲信越のページの中には、なかなか心をときめかせる文字を見つけられない。そして、国道はもちろん、緑色した県道や、それよりも細かな黄色の市町村道も、面白そうなところはほとんどが記憶の中にしまわれている。それでも、動くとうっすら汗ばむ陽気に誘われるまま、GROMを引っ張り出してAraiのRAPIDEをかぶり、通りに向かって加速していく。

利根川を溯り、赤城山の裾野からは、わたらせ渓谷鉄道と併走する。途中、草木ダムに立ち寄り、今日はここでUターン。初めて走る林道へと迂回して、まだ桜の花が残る車線のない舗装路を、右に左にGROMの小さな車体が細かく刻んでいく。家を出るとき気持ちを惑わせていた雲も払われて、青い空に光の塊が浮かんでいる。その陽射しが、生え揃ったばかりの若い緑に落ちて、薄く透かしている。シートの上、走りながら新緑を仰ぎ見る・・・この時、この光があるから、やっぱりツーリングは止められない。