極上のプロローグ

梅雨前線の北の縁に大陸から乾いた風が流れて、洋上へ流れていく。夕べの雲はその風に乗って東へ抜け、一面の青に白い雲がひとつ、まぶしいヒカリに照らされて掠れるように消えかけている。雨に包まれる少し前、この時季にだけ味わえる、極上の一日。その一日が休日に重なって、時間を思いどおりにできるなんて偶然には、めったにお目にかかれない。バイク乗りに生まれてよかった――今日はそう思える休日、極上の土曜日になった。