最後の五月晴れ

端からバイクをあきらめることにした夕べ。冴えない曇り空に少し朝寝坊するつもりが、まったく裏切られた。雨戸は閉めず、ガラス窓に中途半端に引かれたカーテン。その大きなすき間からは、昨日と同じ陽が、まっすぐに射し込んでいた。ベッドから這い出て窓を開けると、レースのカーテンの裾がばあっと広がり、朝の空気に部屋が包まれる。ちょっと湿り気のある、それでも真夏のように重たくはない風が、部屋をすり抜け、階段をたどっていく・・・。

音を聞きつけ、騒ぎ出したシロとネロ。向かいの屋根でムクドリが戯れている。眩しさのこぼれる日曜日。ただ、今日だけは、ガレージにこもって愛機を組み立てないといけない。恨めしそうに出窓から上を覗くと、太陽が力いっぱい、眩く空に溶けていた。