サクラ咲ケ

きっちり3時間。それも2人で休みなくだから、1人たっぷり1時間30分の計算になる。気分爽快の歌会が、湿気た梅雨空を吹き飛ばす――。

退出時間を少し過ぎて歌トモがサザンを唄いきり、エアコンでキンキンに冷えた薄暗い部屋から、真っ白に光る廊下へと出ていく。あまりに眩しくして、思わず片眼をつぶり、それがまるで歌会の楽しさを伝えているようで、何だか気恥ずかしい。ただ、2人、口を揃える「あっと言う間だった」はひどく正直な気持ちで、歌トモの大きな背中も満足そうに揺れていた。

初めて披露する曲を「新曲」と呼ぶローカルルールで言えば、ワタシは2つの新曲を披露した。そのうちの1曲は、初期の嵐の楽曲。旋律はもちろん、その歌詞に惹かれて、この春に聴かせようと決めていたのに・・・いろんなことがありすぎて、結局、こんな梅雨の時季に披露することになってしまった。

振り向くな 後ろには

明日はないから 前へ前へ

こんな台詞にときめくなんて、イイ年をして何と青臭いことか。でも、まんざらでもない顔をして聴いている歌トモを見たら、ちょっぴりうれしくなった。次の春には・・・もう少し上手くなっていよう!