小さな声援 4

白地にピンクを配したoneのウェアは、どこかの戦隊ヒーローにでも似ていたのかもしれない。その手は、懸命に左右に振られている。ただの気まぐれ、いやいやmori-yanだって「すごく姿勢が良くなった」とほめてくれたし、SXを駆るワタシはまんざら捨てたもんじゃないらしい。チラッとコーナーの外に視線を流してから、ギャラリーテーブルを2つ越えて、今度はtakeさんに目で合図して、iguchi師匠の立つスタート前を大きく折り返す。

盛土で作られた第1コーナーのバンクには近寄らないで、イン側のワダチをそれっぽくなぞって走る。ここからはゆるやかな上り勾配。この「ギヤを落とすのを横着して、半クラッチだけで走ろうとする上り」で、SXが2ストマシンであることに気づかされる。とくに「408コーナー」に向かうこのストレートは、平らな前半でギヤを変えておかないと、それまでのチカラ強さが途中でフワッと消えてなくなり、急なシフトダウンに迫られる。

暑さのせいで8分+1周に短縮されたレース、あまりのんびりもしていられない。マシンはもちろん、乗り手がただひとつ得意とする“直線”で前走車を追い上げて、何とか視界に大きく捉えはじめた頃だ。リヤブレーキペダルに置いた右足を、ぼんやりとした迷いが、固くしてしまった・・・。

<つづく>