小さな声援 3

<7/30の続き>

気の抜けないテーブルを跳び越え、S字を逆さまに描くように坂を上ると、一瞬、85SXの推力が落ちる。やわらかく荒れて、曲がりにくい暗がりの中のカーブ。左足をステップから降ろせないワタシには、どうしても思いきることができない。それでも駆動と制動がつり合うように右手をうまく動かして、集団からは少し遅れて、大きくえぐれた段差を飛び落ちる。削れた“リップ”にフロントタイヤを弾かれながらテーブルトップの上に乗っかると、左の人さし指でちょこんとクラッチレバーを引いて、斜面を全開にして下っていく。ストロークが極端に短くて、握るとすぐに全開になるスロットルはSXのチャームポイント。気分がいい。そしてバックストレート、わき立つ砂塵の先に、麦わら帽子をかぶったmori-yanと、その横で小さく手を挙げている小さな白い影が、ヒカリを浴びてきらめいていた。帰りしな「かっこよかった!」と声をかけてくれた、mori-yan Jrだ。

<つづき>