変わるもの、変わらないもの 4

<8/15の続き>

腰高の4ストロークエンジンは、FCRからだけじゃなくてシリンダヘッドからもクランクケースからも、やたらホースやコードが伸びてきて、のぞき込んでみても向こう側が透ける隙間がない。額の汗が目尻から瞳に流れ込み、しびれるような痛みに、思わず瞼を強く閉じる。ここでキャブレターをバラすには、あまりに陽射しが強過ぎる。ただ、kuboさんにスイングアームを直してもらって、前後のタイヤは、この日のために用意した新品。このままBONGOの荷室に戻すわけにはいかない。

「それでは荒療治」とばかりに、VFX-Wにゴーグルを収め、グローブをはめた両手でハンドルを握り、CRFのキックペダルを踏み下ろす。そして、1回のクランクで目覚めた150ccエンジンを、そのままコースへと連れ出す。アプローチの砂利道でフューエルコックをONにして、右手をあおりながら、ゆるく左に曲がっていく。チョークノブを引っ張ったまま走っているかのように、バラバラと吹け上がらない4スト150。空吹かしをやめたら、その瞬間にエンジンが止まってしまいそうだ。

<つづく>