8・1・9

バイク乗りには、たぶん特別な日なはずなのに、しっかりと空調の効いた空間でイスに座りパソコンと対峙している。仕事のほとんどがメールを読んでは書いて、また読んでの繰り返し、その気になれば家を出てから帰るまで、誰とも口を利かないことさえできる。そんな繰り返しの中、年齢とか経験とかを言い訳にされて、いろんなことやものを押しつけ、抱え込まされて・・・いつしか颯爽と仕事に背を向けて、バイクを駆り出すココロを失くしてしまっていた。

巨大な工場に飲み込まれたまま、鋭角に切り取られた空をながめていると、やんちゃだった頃の自分が思い出されてくる。「空が青かったから」「風が気持ちよかったから」「エンジンがご機嫌だったから」そして何より、「ただバイクに乗りたかったから」・・・そんな子供じみた理由で、伊豆の海岸線をたどりに行ったり、信州の女神をなぞりに行ったり・・・理性に乏しかった時代の話。でも、無条件に笑えた時代。バブルのように、明るくいい時代の話。

今日は8・1・9で「バイク」の日。かすれてしまったココロに、子供のココロを思い出させる日。乗れも触れもしなかった一日に、せめてDVDを流して、気分だけでもバイク日和にしてやろう。空前のバイクブームの中に生まれた希代の英雄「北野晶夫」の走りを大きな画面に映し出して。