晴天、北風強し

遠く太平洋にある台風に向かって、北から風が吹き込んでいる。空を覆っていた灰色の雲は、その強い風に白くちぎれていって、夏の青空がはっきりと姿を見せ始める。クラス分け走行の合間、10分のインターバルの静けさにもだいぶ慣れてきた。次はAクラスのアナウンスを聞いて、ブレストガードを素肌の上にのせ、ONEの薄っぺらいモトクロスジャージをアタマからかぶる。両手にヘルメットを抱えると、パドックに砂塵が不意に舞い上がり、あちこちの笑い声がふうっと空の青に吸い込まれていった。