湿気た火曜の空に。

いつもより30分早く起きただけなのに、とてつもなく睡眠時間を削られたような、どこか釈然としない気持ちのまま、ペタペタと音を立てて階段を降りていく。夕べからの雨が、閉め切ったガラス越し、冷たく湿った空気を漂わせている。薄暗い部屋の中で見慣れないアナウンサーが、まだしばらくこの雨が続くこと、そして、南の海から這い上がってくる台風で暴風雨になるおそれがあることを、変に重々しい口調で伝えていた。

何か見えないものにしっとりとくるまれた感じのする火曜日。けだるさを引きずりながら玄関の扉を開き、いきおい雨の世界へと出ていく。黒く濡れたアスファルトの上、細く長い水たまりが、雲を映して白く光りながら、まっすぐに延びていた。