三日続いて、壊れそうな水曜に。

ベッドから身を乗り出して、つかんだカーテンの端を壁に向かって投げつける。ぼやけたヒカリが拡がりながら部屋の中にはうっすらと色が戻り、覚めてきた耳の奥底に、昨日と同じ水の音が届いた。切り落とされたように終わった夏から長雨の時季がやってきて、月曜日から数えて今日で三日。カラダもココロも乾く間もなく、雨は降り続いている。そして今朝もまた、出窓のガラスを無遠慮に叩く雨音を聞かされる。

ため息が混じりそうになるのを押し殺してベッドから起きあがり、少し痛み始めたヒザをかばうように左手で手すりをつかんでは、一段ずつゆっくりと階段を踏みしめる。その姿を玄関のゲージの中で見上げ、ぐるぐると回りながら吠え続けるシロとネロ。Rock Bottomのアルペジオスマホから流れ出し、掛けていた布団をはがす音を合図にカラダ全体で騒ぎ立てるのは、昨日も一昨日も今朝も、ひとつも変わらない。

さっきまでのわずらわしい雨音は、こいつらの朝のあいさつにかき消されて、すっかり聞こえなくなった。彼らのココロを壊すものがあるとすれば、それは空腹と雷ぐらい。壊れそうにしていたココロに、ちょっぴり陽が射した気がした。