Back Shot 1/2

標高1000mを越えたいで湯の里は、あい変わらず人気がある。観光バスが連なり、関東だけじゃなく関西のナンバーを付けたクルマが、一本道の国道に長い列をつくる。その中心に滔々と湯をたたえる湯畑に、ひとひとひと。老いも若いも男も女も、とにかく人であふれかえって、たちこめる湯の香には、あちらこちらを向いた声が混じりあって漂う。すっかりあけ抜けてしまった白旗の湯の立ち姿を寂しそうに見送り、もう一度湯畑の縁をたどり始めると・・・聞き覚えのある、歯切れのよい排気音が、地面すれすれに響いてきた。

<つづく>